アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏が、新たな経済政策としてAI(人工知能)への巨額投資とテクノロジー企業向けの減税を発表し、話題を呼んでいる。トランプ氏は、自身の仮想通貨「$TRUMP」を発行し莫大な利益を得るなど、すでに「黄金時代」を迎えていると言われるが、果たしてAIやアメリカ経済も同じ道をたどるのだろうか?
「Stargate」計画——5000億ドルのAI基盤投資
トランプ氏は、2025年1月21日に**「Stargate(スターゲート)」プロジェクト**を発表。OpenAI、ソフトバンク、オラクルといったテック業界の巨頭が共同で出資し、今後4年間で5000億ドル(約75兆円)をAIインフラ整備に投じる計画だ。
この資金は、大規模データセンターの建設、クラウドインフラ強化、次世代AIプロセッサ開発に向けられ、米国内のAI競争力を一気に押し上げることを目的としている。また、AI業界の成長を加速させるための規制緩和も実施予定で、トランプ氏は「アメリカをAI分野の超大国にする」と強調した。
加えて、AIデータセンターに必要な電力供給の確保も最優先事項として掲げられており、エネルギー政策との連携が重要になりそうだ。
減税でAI企業を支援、法人税は15%へ?
AI投資の加速に合わせ、トランプ氏はテクノロジー企業向けの法人税減税も打ち出した。2017年に導入された法人税の引き下げ(35%→21%)をさらに進め、15%まで引き下げる可能性があるという。
これは、シリコンバレーをはじめとするテック業界にとって大きな追い風となる一方で、財政赤字を拡大させる懸念も指摘されている。トランプ氏は「税率を下げることで投資と雇用が増え、結果的に経済全体が活性化する」と主張するが、その効果には賛否が分かれる。
仮想通貨「$TRUMP」の急騰、総額320億ドル超え
AI投資とは別に、トランプ氏は自身の仮想通貨「$TRUMP」を発行し、市場を騒がせている。$TRUMPは発行直後から急騰し、一時市場価値は320億ドル(約4.8兆円)を突破した。
特筆すべきは、この仮想通貨の80%をトランプ関連の団体が保有している点だ。投資家の間では「これは純粋な投資機会か、それとも新たな“トランプ経済圏”の幕開けか?」と様々な議論が巻き起こっている。
この動きに対し、元ホワイトハウス報道官のアンソニー・スカラムーチ氏は「イディ・アミン(ウガンダ元大統領)並みの腐敗」と酷評。トランプ氏の仮想通貨戦略が倫理的・法的に問題がないのか、今後の動向が注目される。
「黄金時代」到来か、それとも新たなバブルか?
AIインフラへの巨額投資、企業向けの大幅減税、そして仮想通貨市場での成功——トランプ氏は自ら「黄金時代」の幕を開けようとしている。しかし、この流れがアメリカ経済全体の繁栄につながるのか、それとも単なるバブルに終わるのかはまだ未知数だ。
AI業界と仮想通貨市場が新たな成長の波に乗るのか、それとも規制の強化や経済の不確実性によってブレーキがかかるのか。トランプ氏の動向から、2025年のテック業界は目が離せない。