
2025年6月11日、中国・華為技術有限公司(Huawei)は、新型スマートフォン「Pura 80」シリーズを発表し、Pura 80、Pura 80 Pro、Pura 80 Pro+、Pura 80 Ultraの計4モデルを同時に公開した。この中で特に注目を集めたのが、最上位機種である「Pura 80 Ultra」である。
Pura 80 Ultraは、世界初となる1/1.28インチRYYBセンサーを採用した望遠レンズを搭載。「二眼一体」と呼ばれる新構造により、レンズ内部のプリズムを移動させることで、物理的に2つの異なる焦点距離を切り替えることが可能な“可変焦点潜望望遠”を実現した。これにより、同モデルはHuaweiにとって久々のフラッグシップ級カメラスマートフォンとしての存在感を確立した。
■ Pura 80 Ultra の主なカメラ構成:
- 前面カメラ:1300万画素、F2.0、オートフォーカス対応
- メインカメラ:1インチRYYBセンサー、F1.6-F4の可変絞り、OIS搭載。16EVの高ダイナミックレンジに対応
- 超広角カメラ:4000万画素、RYYB、F2.2
- 望遠カメラ:「二眼一体」構造、1/1.28型RYYBセンサーを採用
- F2.4(3.7倍、83mm相当)で最短8cmの接写が可能
- F3.6(9.4倍、212mm相当)ではセンサー面積は1/2.5型相当。最短焦点距離は約1m
- ISP:第8世代画像処理エンジン。AI動画ノイズ除去性能が113%向上。AI色彩エンジンは120%、AIリアルタイムHDRは41%改善
- その他:150万画素の多光スペクトル「紅楓原色カメラ」や個性色調機能も搭載
この「二眼一体」望遠は、3.7倍(83mm相当)と9.4倍(212mm相当)の2段階ズームに対応しており、プリズム移動により焦点距離を切り替える。iPhoneのセンサーシフト式OISに似た方式の手ブレ補正機構も搭載されており、3.7倍時には通光口径が10.05mmと極めて大きく、これは過去にvivo X200 Ultraに搭載されたF2.27の1/1.4型HP9長焦(通光口径9.9mm)をも上回る。
この新型望遠レンズは、Huawei史上最も高価な望遠ユニットであるとされ、その集光性能はiPhone 16 Proのメインカメラの9倍に達するという。
■ 筆者の予測とvivo X300 Ultraへの期待
筆者は2025年3月、vivo X200 Ultraの発売時に、次期フラッグシップ機「vivo X300 Ultra」(2026年発表予定)が、Sony製の高性能CMOSセンサー「LYT-818」を3基搭載する可能性を予測していた。今回、Huaweiが1/1.28インチセンサーを用いた高性能望遠を実用化したことは、この予測の現実性を裏付けるものといえる。
vivo X300 Ultraが仮にLYT-818を用いて、Pura 80 Ultraと似ている「二眼一体」構造を採用すると、14mm超広角・35mm標準・83mm望遠・212mm超望遠の4焦点域をカバーするようになり、史上最強のスマートフォンカメラの座を確実なものにするであろう。
さらに筆者は、vivo X300 Ultraの超広角がX200 Ultraの14mmから12mmへ拡張されることを期待しており、それが実現すれば名実ともに「UltraのUltra」となるのだ。