2024年10月29日、サウジアラビアの首都リヤドで開催された第8回「未来投資イニシアチブ(FII)」会議で、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長が、近年注力しているAI関連事業に関する戦略を明かしました。孫氏は「現在は大きなチャンスに備え、何百億ドルもの資金を貯めている」と述べ、AI分野での成長とイノベーションに向けた強い意欲を示しました。
FII会議の開幕日には、キング・アブドゥルアジズ国際会議センターで投資、イノベーション、持続可能な開発に関する世界的なリーダーたちが一堂に会し、「無限の地平線:今日の投資が、明日の未来を形作る」というテーマのもと、人類の未来に向けた議論が展開されました。初日にはエジプトやパキスタンの首脳陣も参加し、世界的な課題への新たな解決策を模索する重要な対話が行われました。
AI分野での急成長に向けた取り組み
「AIインクルーシブ・イニシアチブ」の立ち上げが発表され、新興市場における包摂的なAI導入を目指す新しい取り組みが強調されました。テクノロジー企業や政府、知識パートナーが連携し、専門知識の提供とともに資金が新興市場のプロジェクトに投入される計画です。また、孫氏のAIへの投資計画が注目を集めたことに加え、会議内での「AIの未来」に関するパネルディスカッションでは、生成AIを含む技術の進展が雇用に与える影響、アルゴリズムの偏り、プライバシーの問題など、AIの倫理的な側面についても議論が交わされました。
孫正義氏はAI事業への投資において、未来を見据えた大胆な戦略を打ち出し、グローバルなAI市場における競争力を確保しようとしています。しかし、ソフトバンクグループはAIで他社に勝てるか、いくつかの課題が残されていると思います。
孫正義氏はAI技術に対する強いビジョンを持ち、積極的に資金を貯めて投資に備えている一方で、現在のAI市場ではすでにGoogle、Microsoft、OpenAIなどの大手企業が技術やリソースの面で先行しています。また、これらの企業は膨大なデータセットや高性能なハードウェア、先進的な研究開発体制を備え、AIの開発競争において非常に優位な位置にいます。
さらに、AI開発の成功には優れた技術者の確保や持続的な研究環境が不可欠ですが、ソフトバンクグループはテクノロジー自体の開発よりも投資ファンドの役割を重視するビジネスモデルが多く、リソースの確保と迅速な実用化が課題となる可能性もあります。ソフトバンクは、他社と連携しつつAIスタートアップや既存企業への投資を通じて成長を目指していますが、実際にリーダーシップを確立するためには、自社での技術開発力やイノベーション創出力をさらに強化する必要があるでしょう。
今後、孫氏が目指す「人類にとってのAI」を具体的に形にできるか、またそれが競争力ある技術として評価されるかが鍵となりそうです。