■ 5berとは?
5ber は、外付け型 eSIM(eUICC)カード を提供していたサービスである。
- eSIM 非対応スマートフォンにカードを挿す
- 専用アプリで eSIM プロファイル(Airalo などで購入した QRコード)を書き込む
- 端末を eSIM 対応化できる
技術としては、物理 SIM の形をした eUICC(書き換え可能な eSIM チップ) にユーザーが自由に eSIM プロファイルを書き込む仕組みだった。
■ 現在発生している問題(2025年10月時点)
筆者自身とネット上一部ユーザーの検証によると、以下の問題が発生している。
✅ 確認 1:
Pixel 6 Proで 5ber アプリを起動すると「アップデートしてください」と表示されるが、
アップデートリンク先がアリババクラウドの削除済みバケットに飛び、ダウンロードできない。
結果:アプリを利用できず、eSIM プロファイルの切り替え/書き替えができない。
つまり既にカード内に保存された eSIM を変更・差し替える手段が消失した。
✅ 確認 2:
Webブラウザからは、公式サイトおよび購入履歴ページへはログインできる。
ただし:
- カートに商品を追加できない
- 新規に 5ber カードを購入できない
- 「購入」ボタンが存在しない
結果:販売停止状態
✅ 補足:サーバー側のエラー
公式サイトの一部リンクから以下のエラーが返ってくる:
<Code>NoSuchBucket</Code>
<Message>The specified bucket does not exist.</Message>
<HostId> *.oss-cn-hongkong.aliyuncs.com </HostId>
これは バックエンドのクラウドストレージが削除された ことを示す。
■ まとめると現在の状態は:
| 項目 | 状態 |
|---|---|
| アプリ | ✅ 起動はするが、アップデート要求 → 更新不可 → 実質使用不能 |
| eSIM書き込み | ❌ 不可(切り替え・新規書込みも不可) |
| 公式サイト | ✅ ログイン可(注文履歴のみ) |
| カード販売 | ❌ 新規購入不可 |
| サーバー側ストレージ | ❌ 消滅(NoSuchBucket で確認) |
| 公式説明 | ❌ なし(沈黙) |
「動かせない eSIM がカードに残ったまま」というユーザーが発生している。
■ なぜこうなったのか?(推測される背景)
- 5ber は アプリとサーバーによって eSIM 書き込みを制御していた
- 書き込み回数の追加購入も オンライン課金 方式だった
- サーバー停止=アプリが動かない=カードの切替ができなくなる
また、外付け eSIM 自体が 極めてニッチな市場 だった。
eSIM を使いたい
→ でもスマホが対応していない
→ さらにカードにお金を払うというユーザーは非常に限られていた。
そこにスマホメーカーの流れ:
- iPhone(米国モデル)は SIMスロット廃止
- Android 中端機も eSIM 標準搭載へ
外付け eSIM という「補助的な需要」が市場として消滅していった。
■ 利用者の声
「便利で魅力的なサービスだったのに、突然使えなくなって残念」
「eSIM が入ったまま変更できなくなった」
「公式は沈黙、対応がないのが辛い」
■ 結論
5ber は技術で負けたのではなく、需要不足と市場の変化に負けた。
- eSIM がスマホに標準搭載され始めた
- 外付け eSIM カードは “過渡期の産物” に終わった
- サービス依存の設計が、最後の引き金となった
「時代の隙間に生まれ、時代に押し流されたサービス」だった。
■ 記事後記
筆者自身も便利に使っていたため、このような結末になったことは非常に残念である。
今後、代替手段(他の外付け eUICC や eSIMサービス)については別記事で整理する予定。