中国人民解放軍(PLA)に関わる研究機関が、米国メタ社の大規模言語モデル「Llama」を使用して、軍事用途に特化した人工知能(AI)ツール「ChatBIT」を開発していることが報じられています。これは、ロイターが入手した2024年6月の論文やアナリストの見解に基づく情報です。PLA関連のトップ研究機関が「Llama 2 13B」モデルを軍事用にカスタマイズして構築した経緯が詳述されています。
この論文によれば、中国軍事科学院、国防科技革新研究院、北京理工大学、中央民族大学の研究者たちが協力し、メタの「Llama 2 13B」モデルに独自のパラメーターを加え、情報収集と処理、作戦の意思決定支援を可能にする軍事特化型AIを構築しました。特に「ChatBIT」は、戦場での対話や質問応答を目的とした軍事任務に最適化されており、OpenAIの「ChatGPT-4」の90%の性能を発揮するとされていますが、具体的な性能評価方法や実用化については詳細が記されていません。
メタの規制と利用制限の課題
メタ社は、「Llama」を含むAIモデルを無料公開していますが、利用規約で軍事用途やスパイ活動、核産業、武器開発への使用を禁止しています。メタの公共政策責任者であるモリー・モンゴメリー氏は、「人民解放軍による利用は未許可であり、規約に違反している」とコメントしています。しかし、モデルが公開されているため、規約の実効性には限界があると見られており、この状況に対し米国内でもAIモデルの公開に関する議論が活発化しています。
米国の懸念と対応
米国防総省もAIのオープンソースモデルの利点とリスクを認識しており、競合国による活用を注視していると発表しました。今後、米国がどのようにAI技術の公開制限や対策を講じるかが注目されます。