AIを活用した嗅覚デジタル化を手がける米国企業Osmoは、2024年11月18日、トロント大学名誉教授でノーベル物理学賞およびチューリング賞受賞者のジェフリー・ヒントン氏が科学諮問委員会(SAB)に参加したと発表しました。AIの分野で「ディープラーニングの父」として知られるヒントン氏が、Osmoの科学的進展を助言し、深層学習と嗅覚の融合を推進します。
ヒントン氏は、ニューラルネットワーク技術の基礎を築き、現在の生成系AIモデルの発展に寄与した世界的なAI研究者です。Osmoは、この革新的な技術を活用し、香りをデジタルで「読み取り」「書き込み」「マッピング」する研究を進めています。ヒントン氏は、「香りのデジタル化はAIの新しいフロンティアであり、Osmoはその最前線に立っています」と語りました。
香りデジタル化の最前線
Osmoでは、分子の特性や香りを分析するためにグラフニューラルネットワーク(GNN)などを活用し、独自の「Principal Odor Map」を開発しています。この技術は、香料市場での新しい分子設計や、偽物商品の検知、新しい虫除け剤の発見といった分野にも応用されています。
さらに、2024年9月には、合成化学、分析化学、AI、センサー技術の世界的な専門家で構成される科学諮問委員会の設立を発表しました。この委員会はOsmoの嗅覚技術を加速させ、多様な分野への応用を支援します。
日本市場での展開は未定
Osmoは2023年1月に設立され、Lux CapitalやGoogle Venturesが主導する6,000万ドルのシリーズA資金調達に成功しました。同社は香料や食品市場に加え、商業や公共衛生分野にも技術を展開していますが、日本市場での具体的な展開については明らかにされていません。