2024年のショー賞受賞者が集う円卓会議「ショー賞受賞者との円卓会議-科学の未来:ブレークスルーと影響」が、11月14日に香港科学館で開催されました。このイベントはショー賞財団と香港科学館の共催で、南華早報が企画。AI(人工知能)技術が科学研究にもたらす影響や、国際協力の重要性が議論されました。
会議には、2024年ショー賞天文学賞を受賞したシュリニヴァス・クルカルニ氏、生命科学・医学賞のスウィー・レイ・ティン氏とスチュアート・オーキン氏、数学賞のピーター・サルナック氏の4名が参加。会場には120名以上が来場し、オンラインでも数百人が視聴しました。
講演者たちは、AIが科学のあらゆる分野で急速に重要性を増している現状を指摘しました。AI技術の進展により、科学者は従来の研究方法を再考し、AIを受け入れる姿勢を持つ必要があると語られました。特に生命科学の分野では、AIが薬の開発を加速させるなど、試行錯誤を伴うプロセスに革新をもたらす可能性が強調されました。一方で、数学者のサルナック氏は、国際的な協力の必要性を訴え、特に香港のような大都市で開催される会議が知識共有の場として重要であると述べました。
AIの活用が研究を効率化する一方で、講演者たちは「理解」のプロセスの重要性を改めて強調しました。科学者が知識を追求する上での深い洞察や創造的な思考は、AIでは再現できないものであり、科学研究の本質であると述べられました。
質疑応答のセッションでは、若手研究者や学生からの多くの質問が寄せられました。生命科学分野のオーキン氏とティン氏は、若い科学者たちに、自身の興味を深掘りし、信念を持って研究に取り組むよう助言。これに対し、天文学者のクルカルニ氏は、科学研究を「戦略的なゲーム」として捉え、自身の強みを最大限に活かし、効率的にリソースを活用することの重要性を説きました。
ショー賞は、香港を拠点に国際的な科学研究の功績を顕彰する賞として知られています。今回の会議は、AIをはじめとする技術革新が科学の未来にもたらす影響を示唆するとともに、次世代の研究者たちへの貴重なメッセージとなりました。日本からもオンライン視聴が可能であり、多くの研究者や学生が参加したとされています。