IBMコンサルティング、中国市場で生成AIの成長機会を活かす
IBMコンサルティングは、中国市場において厳しい経済環境にもかかわらず、「逆風の中での成長」を遂げています。同社が2024年度第3四半期の業績を発表し、生成AIを含む新たな事業領域での著しい進展が明らかになりました。
IBMの発表によると、コンサルティング部門の第3四半期収益は52億ドル(約7,800億円)で、前年同期比で微減しましたが、生成AI関連事業では、前期比50%増の約30億ドル(約4,500億円)規模に拡大。このうち約8割はコンサルティング部門からの収益であり、生成AIが同部門の主要な成長要因となっています。
中国市場での成長戦略
IBMは2021年にコンサルティング事業を再編し、IBM Consultingとしてブランドを確立しました。中国市場では、顧客数を45%削減する一方で、サービスの質を向上させる戦略を採用。これにより、過去5四半期連続で売上成長を達成しています。IBMコンサルティング大中華区の総裁、陳科典氏は、「顧客数を減らしたことで、より集中したサービス提供が可能になり、顧客との信頼関係が深まった」と述べています。
生成AIとグローバル展開の推進
IBMコンサルティングは、生成AIを活用したサービスを拡大しています。同社が提供するAIプラットフォーム「IBM Consulting Advantage」は、第三世代の生成AIモデル「IBM Granite」や戦略的パートナーの技術を統合し、プロジェクトの効率的な実行を支援。さらに、顧客のデータ保護やAIバイアスの軽減に注力し、グローバル市場での競争力を高めています。
中国国内では、AI導入のための支援サービス「watsonx」を展開し、企業がAIの導入効果を迅速に実現できるよう支援しています。また、同社は中国の製造業やエネルギー分野の企業との提携を通じて、デジタル化やグローバル化の加速を目指しています。
具体的な事例と今後の展望
2024年には、国内大手企業の青島高測科技股份有限公司(高測股份)や東明石化グループとの長期提携が進行中です。これにより、国内企業の業務効率化やグローバル化を支援し、より高い成長目標の達成を目指しています。
また、IBMが発表した「グローバルAI採用指数」によれば、中国企業のAI採用率は世界トップクラスに位置しており、85%の企業が今後さらにAI導入を加速すると回答しています。ただし、データの複雑性やスキル不足が課題であり、こうした分野での支援が重要となります。
IBMコンサルティングは、今年中国市場進出40周年を迎え、これまでのグローバルな知見を活かし、中国企業とともに新たな成長を模索しています。同社は、生成AIを含む革新的なソリューションを活用し、企業のデジタル化やグローバル展開をさらに後押しする計画です。
IBMのサービスは日本国内では提供されていない場合もありますが、生成AIやグローバル化に関する同社の取り組みは、今後のビジネスの方向性を示唆するものとして注目されています。