
ロンドン・クライメート・アクション・ウィーク( London Climate Action Week )で発表されたこのコラボレーションにより、バッテリ分野における国際的な連携と実践が新たな段階に入ります
ロンドン、2025年6月27日 /PRNewswire/ — ロンドン・クライメート・アクション・ウィーク(London Climate Action Week)において、CATLとEllen MacArthur Foundationは、バッテリの循環型経済への移行を加速させるという共通の目標を掲げることになりました。両者は、新たなバッテリの生産は未加工天然資源への依存から切り離されるべきだとの考えを示しました。この取り組みによって、アクセス性・回復力・持続可能性が調和して共存する未来、そして資源の採掘に依存しない成長を実現することが可能になります。
本年初めに戦略的パートナーシップを締結して以来、CATLとEllen MacArthur Foundationは、どうすれば循環型経済の原則をバッテリのバリュー・チェーン全体に適用できるかについて共同で模索しています。両者に共通するこの志は、連携とイノベーションに向けた出発点であり、進むべき方向を示す道しるべとなります。この取り組みは、CATLのみならず、持続的な成功を目指してシステムを再構築しようとする全世界の関係者に向けた指針となることを目的としています。
このビジョンは、Ellen MacArthur Foundation主催のハイレベル・パネル・ディスカッションで、CATLの副社長兼取締役会秘書を務めるJiang Li氏によって提起されました。このパネル・ディスカッションでは、研究機関、産業界、政府といった各分野の関係者が、実施にあたってどのように連携し、このビジョンをどうやって実現に導くか、そしてそれを大規模に展開するために何が必要かについて議論しました。
このビジョンをより明確にするため、CATLは指針となる目標を掲げました。今後20年以内に、新たに生産されるバッテリの50%を未加工天然資源に依存せずに製造できるようにするというものです。これは長期的な指標であり、循環型モデルの探求、パートナーシップの拡大、そしてバリュー・チェーン全体にわたるイノベーションへの投資の方向性を示すものです。
Jiang Li氏は、循環型経済が環境的・社会的な価値をもたらすだけでなく、新たなビジネス・チャンスを生み出す可能性があると力説しました。2040年までに、世界のバッテリ・リサイクル市場は1.2兆人民元(約1,650億米ドル)を超えると予測されています。また、バッテリのバリュー・チェーン全体では1,000万以上の雇用が創出され、そのうち半数以上が開発途上国における雇用になると見込まれています。
産業変革を牽引する 4 つの原則
この取り組みの核となるのは、Ellen MacArthur Foundationの循環型経済フレームワークから着想を得た4つの実践原則です。これらの原則は、鉱業や製造からモビリティ、エネルギー・システムに至るまで、バッテリのバリュー・チェーン全体にわたる変革を導くためのものです。また、バッテリにおける循環型経済への移行を加速する上で、主要な関係者との連携を深め、連携による実行計画を策定していく出発点となります。
システムを見直す:循環型アプローチを実現するには、バッテリ・エコシステム全体にわたり、システム・レベルで変革を進める必要があります。バリュー・チェーンの各段階に循環型の視点を取り入れることで、低炭素型の発展を支え、廃棄物を削減し、資源の持続的な循環を実現できます。この原則が示しているのは、資源利用の効率性と回復力を高めるために、バリュー・チェーン全体の構造と連携の最適化を図ることの重要性です。
製品の設計を見直す:循環型経済は設計段階から始まります。バッテリは、長寿命、分解のしやすさ、そしてリサイクルでの活用を前提に設計しなければなりません。その鍵となるのが、モジュール構造、耐久性の高い部品の採用です。再利用やリサイクルを見据えて設計することで、より長く価値を保つ製品を作り出し、使用後の回収・再資源化も効率的に進められるようになります。
ビジネス・モデルを見直す:資源利用と経済成長の分離を実現するためには、新たなビジネス・モデルの導入が不可欠です。従来の所有モデルから、共有、サービス、あるいはセカンドライフ活用型のモデルへと移行することで、より高い利便性を提供し、より多くのユーザにとって利用しやすいバッテリが実現します。この原則は、経済的に実現可能な道筋の構築を後押しし、循環型の取り組みを大規模に展開するためのものです。
原材料をリサイクルする:循環型経済の実現には、高性能なリサイクル・システムが不可欠です。素材を効率的に回収し、高付加価値の用途向けに再利用する必要があります。これが、クローズドループ・リサイクルの比率を高め、未加工天然資源への依存を軽減し、より持続可能で、安全性が高く、環境負荷の少ない重要原材料の供給体制を確立します。
Jiang Li氏は、CATLが4つの原則をどのように実践しているかを示す具体的な取り組みについても紹介しました。
• システム・レベルでは、バッテリのバリュー・チェーン全体の脱炭素化を支援するため、Carbon Chain Management Systemを立ち上げました。
• 製品設計の面では、同社のエネルギー貯蔵用バッテリは最大18,000サイクルにも及び、バッテリの大幅な寿命延長、原材料の需要と排出量の削減に成功しています。
• バッテリ効率の向上と使用済みバッテリの大規模な回収を促進するために、1万か所以上のバッテリ交換ステーションの配備を計画しています。
• リサイクルの領域では、世界最大規模のバッテリ回収ネットワークを運営しており、2024年だけで約13万トンの使用済みバッテリをリサイクルし、1万7,000トンのリチウム塩を回収しています。
GECC による変革の推進
今回の共通のビジョンを現実の環境で検証・発展させるため、CATLはGlobal Energy Circularity Commitment(GECC)を推進しています。3月に発表されたGECCは、産業界、自治体、学術機関などの関係者を結集し、循環型経済のソリューションを実際面で検証するためのオープンでグローバルなプラットフォームです。CATLは、このプラットフォームを通じてバリュー・チェーン全体の関係者と連携し、インパクトの拡大に向けた知見の共有と実践的な検証を進めていくつもりです。このような協働的なアプローチが、レジリエントで持続可能なバッテリ・システムの構築において重要な鍵となります。
今後の展開
両者の間で共通するこのビジョンを足がかりに、新たな連携のあり方、透明性の確保、そしてシステムのイノベーションを世界のバッテリ業界全体に築いていきます。ここで提示されたアイデアをさらに洗練させ、拡充し、実行可能な状態に持っていくために、CATLとEllen MacArthur Foundationは今後も官民のパートナーとの連携を継続していきます。
「循環型のバッテリ・システムは、研究室や会議室の中だけで築かれるものではありません。連携、検証、そして共通の努力を通じて形づくられていくものです」とJiang Li氏は述べています。「このビジョンは、そうした取り組みを前進させる指針です。その実現には、グローバルな連携、分野を超えて学ぶ姿勢、バリュー・チェーン全体にわたる開かれた体制が不可欠です。これはいずれもEllen MacArthur Foundationが長年にわたって推進してきたことでもあります。」