
中国の電子商取引大手アリババ・グループ(本社:浙江省杭州市)は15日、2025年度(2024年4月〜2025年3月)および第4四半期(2025年1〜3月)の決算を発表した。通期の売上高は前年比6%増の9963億4700万元(約21兆5000億円)、営業利益は24%増の1409億500万元、純利益は62%増の1294億7000万元に達した。
第4四半期では、売上高が前年同期比7%増の2364億5400万元、営業利益が93%増の284億6500万元、純利益は279%増の123億8200万元と、大幅な伸びを示した。
同社は2025年度において、119億ドル(約1兆8500億円)を投じて11億9700万株の普通株を自社株買いし、流通株式は5.1%減少した。加えて、1株当たり0.25ドル(米国預託証券=ADSは2ドル)の配当を実施し、総額は約46億ドルとなる見通し。
決算説明会では、傘下のスーパーマーケット「大潤発(RT-Mart)」と百貨店「銀泰商業(Intime)」の売却により、最大で約26億ドルの現金収入が見込まれると発表。両社を除いた場合のグループ売上高は前年比10%増となっており、今後は「AI+クラウド」「EC(電子商取引)」「その他のインターネットプラットフォーム」の三本柱で事業構造を再編し、非中核事業からの撤退を進める方針を示した。
特にクラウド事業「アリババクラウド」は、AI需要の高まりを受けて好調に推移。第4四半期のクラウド部門売上高は前年同期比18%増の301億2700万元で、過去3年間で最も高い成長率を記録。AI関連製品の売上は7四半期連続で3桁成長を達成し、調整後EBITAは69%増の24億2000万元となった。通期では、クラウド売上が11%増の1180億2800万元、調整後EBITAは72%増の105億5600万元に達した。
張勇前会長の後を継いでグループCEOとなった呉泳銘氏は「AI活用は中・大型企業の内部業務から顧客接点領域へ広がりつつあり、AIを導入する中小企業も急増している」と述べた。
AI活用の分野はインターネット、スマートカー、金融、オンライン教育のほか、養殖業や伝統的な製造業などにも拡大しており、幅広い業種で需要が増加しているという。
呉氏はまた、「2026年度もECとAI+クラウドに経営資源を集中させ、テクノロジー主導の第2成長曲線の確立を目指す」と中長期戦略を語った。